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自動車や航空部品切削の老舗 菱輝金型工業と、核融合炉の基幹部品ブランケットの加工に向けた事業連携を発表しました

  • 執筆者の写真: naho yoshimura
    naho yoshimura
  • 9月12日
  • 読了時間: 7分

愛知県によるAichi Deeptech Launchpad採択プロジェクトで、愛知県のものづくり企業と商用プラント実現へ着実な一歩


Helical Fusionは、2030年代の「実用発電」を達成し、フュージョンエネルギー産業を全日本・全分野横断チームで実現する「Helix Programパートナリングプロジェクト」を進めています。


この度、商用発電プラントにおいてエネルギー取り出しを担う重要部品「ブランケット」の加工について、大型の金属の精密加工で高い技術力と実績を有する菱輝金型工業株式会社(本社:愛知県一宮市、代表:原康裕、以下、「菱輝金型工業」)と事業連携を開始します。本事業連携は、愛知県によるディープテック推進事業「Aichi Deeptech Launchpad」における研究開発費(約4,000万円)の支援も受けた取り組みです。


今後も、Helical Fusionは、ものづくりからエネルギー活用までフュージョンエネルギー産業創出に向けたパートナリングを全国で実現していきます。


9月11日に開催した記者会見での写真(左より:愛知県経済産業局 柴山政明顧問、Helical Fusion 代表取締役CEO 田口昂哉、菱輝金型工業 原康裕代表取締役社長。場所:愛知県一宮市の菱輝金型工業本工場)
9月11日に開催した記者会見での写真(左より:愛知県経済産業局 柴山政明顧問、Helical Fusion 代表取締役CEO 田口昂哉、菱輝金型工業 原康裕代表取締役社長。場所:愛知県一宮市の菱輝金型工業本工場)

エネルギー取り出しの要「ブランケット」開発で連携

ブランケットは、商用発電プラントに欠かせない部品で、核融合反応から電気を作るために、エネルギーを取り出し、燃料を増やし、装置全体を守る役割を担います。現状、世界で50社を超える企業が2030年代の発電を目指す中、まだ実装された例はありません。Helical Fusionでは、プラント稼働後のメンテナンスがしやすい独自設計のブランケットを開発しており、今回、菱輝金型工業とともに試作を行います。

ブランケットの語源は覆うもの、毛布という意味。フュージョンエネルギー開発分野では、フュージョンプラントで生成したプラズマを覆う内壁を指し、反応から出てくる大量の中性子を受け止め熱に変える。また、外側にあるコイルや他の機器を中性子から保護するほか、燃料となるトリチウム(三重水素)を生成する役割も担う。
ブランケットの語源は覆うもの、毛布という意味。フュージョンエネルギー開発分野では、フュージョンプラントで生成したプラズマを覆う内壁を指し、反応から出てくる大量の中性子を受け止め熱に変える。また、外側にあるコイルや他の機器を中性子から保護するほか、燃料となるトリチウム(三重水素)を生成する役割も担う。

菱輝金型工業の強みと核融合プラント

核融合プラントの中心部に使用するブランケットの加工では、大きいものでは高さ数十メートルにもなる大型部品を扱う一方、誤差数ミリ以内という高い精度が求められます。特に、加工が難しいステンレスなどの硬い金属の使用が多いことから、設計から加工にいたる全ての段階で、熟練の技術と経験が必要です。菱輝金型工業は、長年航空・宇宙分野など大型かつ高精度の加工を手がけ、グローバル企業からの受託実績を重ねてきた職人技を誇る企業です。核融合プラントの部品加工でも、その技術力が活きてきます。これまでに、今回取り組むブランケットの開発とともに重要なテーマであるHelical Fusionの「高温超伝導コイル」の部品加工において、既にコラボレーションを開始しており、難易度の高い三次元構造のモデリング・高精度の切削加工を順調に進めています。

コイルケース試作品の加工風景。硬度の高い素材を、五軸加工機で慎重に削り出していく。
コイルケース試作品の加工風景。硬度の高い素材を、五軸加工機で慎重に削り出していく。
高温超伝導コイルを収める「コイルケース」の一部の試作品。三次元らせん形状が精密に削り出された。
高温超伝導コイルを収める「コイルケース」の一部の試作品。三次元らせん形状が精密に削り出された。

代表者のコメント


菱輝金型工業 原康裕 代表取締役社長

ヘリカル型核融合炉の部品加工は、菱輝金型工業がこれまで自動車や航空・宇宙分野で培ってきた加工技術をもってはじめて実現できると考えます。これまで私たちは、自動車産業、製造業、航空宇宙、工作機械の分野で愛知No.1を達成してきましたが、次世代に繋がる新しい産業が、これから必ず必要になります。まさしくそれが、核融合であり、Helical Fusionの取り組みだと思っています。当社もその一端を担うべく、「夢」ではなく、「目標」として取り組んでいきたいと思います。


Helical Fusion 代表取締役CEO 田口昂哉

Helical Fusionが開発するヘリカル型核融合炉は、これまで長年積み上げられてきたサイエンスの実績を受け継いで、今まさに「ものづくり」の力を必要としています。そのために、菱輝金型工業が誇る高い技術力や豊富な経験がとても重要です。それでも、まだ誰も作ったことのない核融合炉を作っていくためには、大量の試行錯誤を乗り越えていく必要があります。だからこそ、今回の提携の根幹にある「人の想い」が一番大切だと考えています。難しい課題が現れた時、わくわくしながら一緒に乗り越えていけるパートナーと一緒に歩んでいけることを、とても心強く感じています。



『Helix Program』パートナリングプロジェクトとは

Helical Fusionは、年間百兆円規模のポテンシャルを持つ「フュージョンエネルギー産業」を日本から創造することを目指しています。その実現のため、ものづくりから小売業まで、エネルギーを支え・つくり・使う、全ての営みに関わる産業パートナーの力をあわせ、日本発でフュージョンエネルギー産業を築き上げていきます。

具体的には、最後の実験装置となる「Helix HARUKA」で技術実証を終え、2030年代には世界初の「実用発電」を実現する「Helix KANATA-」の建設・運転を計画しています。その後は発電所の量産化・エネルギー活用を世界中で推進することで、「はるか彼方」まで未来と世界を照らすエネルギーを人類にもたらすことを目指しています。

そのために、Helical Fusionの計画に賛同する日本全国・全分野のパートナーとの連携を拡大し、一刻も早い実現を目指すのが「Helix Program」パートナリングプロジェクトです。

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菱輝金型工業株式会社について

菱輝金型工業株式会社は、航空宇宙分野を中心に、金型や治工具の設計・製作を行うメーカーです。国内最大級の設備を有し、航空機・ロケット向けの一品物の金型製作をはじめ、ファクトリーオートメーション、鉄道車両、道路インフラ向けなどの産業機器部品の製作にも対応しています。


所在地:愛知県一宮市

設立:1967年(昭和42年)6月

代表者:代表取締役社長 原 康裕

ホームページ:https://www.ryoki.co.jp/


 

Aichi Deeptech Launchpadについて

愛知県は産業競争力を維持・発展するために、スタートアップを起爆剤とする新たなイノベーション創出戦略「Aichi-Startup 戦略」を2018 年 10 月に策定しました(2025 年改定)。本戦略は、イノベーション創出の主たる担い手であるスタートアップやユニコーン企業の連続的な創出や、イノベーションの社会実装を実現するスタートアップ・エコシステムの形成と持続的な発展を目標としています。Aichi Deeptech Launchpad Acceleration 2025は、愛知県の産業構造と親和性の高い分野ディープテックスタートアップを中心にハンズオン支援を行い、その技術の社会実装や破壊的イノベーションによる既存市場の転換、社会課題の解決、新規市場の創出を図ることを目的としたディープテック特化型のアクセラレーションプログラムです。


Aichi Deeptech Launchpadのポータルサイト:https://aichi-deeptech.com/



背景

フュージョンエネルギー開発の意義

世界の人口は2050年までに約17億人増加すると予測され、生成AIの普及も背景とした世界的な電力需要の急増に対し、既存発電方法のみで応えることは厳しい見通しです。フュージョンエネルギーは、太陽の輝きと同じ原理を使ったCO2排出がなく効率性の高い発電方法であり、海水等から豊富に採取可能な燃料を用いることからも、世界的な課題を抜本的に解決する技術として期待されています。核融合プラント建設および電力市場は2050年までに世界で数百兆円規模にまで成長するとの試算もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。


日本から世界のエネルギー産業をリードできる唯一の技術「ヘリカル方式」

Helical Fusionが開発する「ヘリカル型核融合炉」は、岐阜県にある世界有数の国立専門研究機関「核融合科学研究所」をはじめ、日本で約70年にわたって蓄積されてきた研究の知見を引き継ぐものであり、プラズマ研究・炉設計と工学研究成果の両面から、実用化に最も近い技術です。

核融合炉を発電所として商用利用するためには、核融合反応を起こすことはもちろん、①定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、②正味発電(外部へ十分にエネルギーを出せる)、③保守性(短期間で効率的なメンテナンス)という「商用核融合炉の三要件」をすべて満たす必要があります。現在、トカマク方式やレーザー方式をはじめとして、世界中で複数の方式を開発する50以上のプロジェクトがありますが、この三要件を「今ある技術」で実現可能な方式は、唯一「ヘリカル方式」を用いるヘリカル型核融合炉のみです。

Helical Fusionは、世界初の「商用核融合炉の三要件」を満たす核融合炉を2030年代に実現、世界に先駆けて商用化することで、真に持続可能で高効率なエネルギー源の実用化を目指しています。

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