核融合による次世代クリーンエネルギーを開発するHelical Fusion、世界初となる「核融合倫理」の構築に向けた共同研究を福岡大学と開始
- naho yoshimura
- 5 日前
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核融合が人類と地球に与える影響、エネルギーを取り巻く我々人類のあり方について、哲学的・倫理学的な観点から検討の土台をかたちづくる
世界初のフュージョンエネルギー実用化を主導する「Helix Program」のもと、ヘリカル型核融合炉を開発する株式会社Helical Fusion(本社:東京都中央区、代表:田口昂哉、以下、「Helical Fusion」)は、この度、学校法人福岡大学(所在地:福岡県福岡市、大学長:永田潔文、以下、「福岡大学」)との間で、世界初となる「『核融合倫理』の構築」に関する共同研究を開始しました。世界に先駆けた核融合の社会実装を進める日本から、「究極のエネルギー」の実現後およびその過程において課題となりうる哲学的・倫理学的論点の整理や議論を進め、フュージョンエネルギー(核融合)のスムーズな社会実装に貢献するとともに、その後の人類のあり方についての検討も試みます。核融合に関して本格的に哲学・倫理学的な研究を実施するのは世界でも例のない取り組みとなります。


共同研究代表者を務めるHelical Fusion代表取締役CEOの田口昂哉(左)と、哲学・倫理学専門の福岡大学 人文学部 林 誓雄 教授(右) (福岡大学にて)
■研究の趣旨
フュージョンエネルギーは、地上で太陽を再現する技術です。地下資源に頼らず、海水などをもとに技術で莫大なエネルギーを生み出すことができることからも、これまでの人類とエネルギーのあり方を抜本的に変えるインパクトを持ちえます。1955年に開催された第1回原子力平和利用国際会議をきっかけに世界各国で核融合研究開発が本格化して以来、約70年にわたり、実用化に向けた取り組みが進められてきました。いまや、フュージョンエネルギーの社会実装を目指す企業は世界で50社を超え、日本でも、産業団体「フュージョンエネルギー産業協議会」に100を超える加盟団体*が名前を連ねるまでになっています。その過程で、科学や工学の分野で膨大な知見が蓄積されてきた一方で、哲学や倫理学的な視点からの本格的な研究は行われていません。しかしながら、今後、核融合の社会実装に向けて人類社会が検討を進めるべき観点は数多くあります。核融合発電所の立地や規制といった既に共有されている課題にとどまらず、それらは全て「人類はエネルギーとどう付き合うべきなのか」というより上位の論点とともに議論を進めていく必要があります。これまでも、クローンやiPS細胞、AIなど、最先端の技術が生まれるところでは必ず「倫理(学)」が必要とされてきました。
本研究では、核融合という革新的な技術が人類と地球に与える影響と、エネルギーを取り巻く我々人類のあり方について、哲学的・倫理学的な観点から検討の土台をかたちづくることをねらいとしています。
*2025年10月時点(https://jfusion.jp/)
■研究代表者からのコメント

Helical Fusion 代表取締役CEO 田口昂哉
核融合は宇宙の根源的なエネルギーであり、人類にとって最後のエネルギー革命になるだろうと思っています。人類が初めて、自分が必要とするエネルギーを自分で作り出すことに成功し、エネルギーと人類との関係性が根本的かつ不可逆的に変わる可能性があります。私は元々大学院の修士まで倫理学を専門としていたこともあり、この技術が人類にもたらす影響についてあらかじめ考えを深めておく必要性を感じていました。単に技術を開発するだけでなく、それが社会・人類・地球に及ぼす影響について責任を持つ意味で、早くから哲学・倫理学的観点からの考えを深める必要があると考え、本研究の開始に至りました。林先生とのこれまでにない思索の旅を楽しみにしています。
福岡大学 人文学部 林誓雄 教授
人類は核融合で進化する。このさき,百万年続く人類と地球の共生が可能となる...。まさに夢のような話が,すぐ目の前に迫っているその一方で,エネルギーの爆発的増大とその利用は,われわれ人類の価値観や生き方に,大きな影響を及ぼすことに間違いはありません。エネルギーに満ち溢れた夢のような社会では,これまでの伝統的価値観や美徳など,もはや顧みられることもなくなるでしょう。そのような社会ではどのような事柄が,喫緊に解決すべき倫理的な問題・課題として浮上するのか。その問題を解決し,課題に取り組むためには,何をどのように考えればよいのか。田口CEOとの思索を深めつつ,「核融合倫理の構築」を目指します。

共同研究代表者を務めるHelical Fusion代表取締役CEOの田口昂哉(左)と、
福岡大学 人文学部 林 誓雄 教授(右) (福岡大学にて)
