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世界初の商用利用可能な核融合炉実現を目指すHelical Fusion、福井大学遠赤外領域開発研究センターと高出力電磁波源ジャイロトロンの小型化・利便性向上に向けた共同研究を開始

  • 執筆者の写真: naho yoshimura
    naho yoshimura
  • 8月4日
  • 読了時間: 4分

実機開発ノウハウと三次元統合シミュレーション技術を組み合わせ、社会実装の実現を促進


世界初のフュージョンエネルギー実用化に向け「Helix Program」のもとヘリカル型核融合炉を開発する株式会社Helical Fusion(本社:東京都中央区、代表:田口昂哉、以下、「Helical Fusion」)は、福井大学遠赤外領域開発研究センター 福成雅史講師らと共同で、「テラヘルツ帯高出力光源の設計・実証と社会実装に向けた多用途展開の検討」に着手しました。

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福井大学が保有するジャイロトロンシステム
福井大学が保有するジャイロトロンシステム

本研究では、福井大学の実機開発ノウハウと、Helical Fusionの統合シミュレーション技術(高性能3次元電磁界解析ソフトウェアを活用)を組み合わせ、ジャイロトロンの小型化と高ユーザビリティ実現を目指します。研究成果は、商用核融合炉開発に不可欠な高出力電磁波によるプラズマ加熱を実現する「高周波・高出力ジャイロトロン」の開発に活用できる可能性があります。さらに、Beyond 5G通信や高精度センシング、非破壊検査などへの応用を通した社会全体の技術革新にも貢献できることが期待されます。


■福井大学 福成雅史講師のコメント

福井大学遠赤外領域開発研究センターは、独自のジャイロトロン開発技術を有し、2次高調波を用いた高周波発振、多周波発振、連続周波数可変など先進的な機能の実現で多くの成果を挙げてきました。本取り組みが、これら技術の社会実装に向けた第一歩となれば幸いです。


■Helical Fusion代表取締役CEO 田口昂哉のコメント

ジャイロトロンは核融合反応を起こすためにプラズマを加熱する装置として、とても重要な役割を果たします。現状でも優れた技術が存在しますが、今後ますます核融合開発が盛んになり、商用化することまでを考慮に入れると、さらに効率化し価格も最適化していく必要があります。本共同研究はそのための重要な第一歩であり、商用化に向けて責任を持って開発を進めていきたいと考えています。


背景

フュージョンエネルギー開発の意義

世界の人口は2050年までに約17億人増加すると予測[1]され、生成AIの普及も背景とした世界的な電力需要の急増に対し、既存発電方法のみで応えることは厳しい見通しです。フュージョンエネルギーは、太陽を輝かせているエネルギーと同じ原理である核融合反応をを用いた、クリーンで効率性の高い発電方法であり、海水等から豊富に採取可能な燃料を用いることからも、世界的な課題を抜本的に解決する技術として期待されています。フュージョンパワープラント建設および電力市場は2050年までに世界で年間5500億ドル規模にまで成長するとの試算[2]もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。


■ヘリカル方核融合炉の特徴と「Helix Program」

核融合炉を発電所として商用利用するためには、核融合反応を起こすことはもちろん、①定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、②正味発電(システム全体で取り出せるエネルギーが投入分を上回る)、③保守性(短期間で効率的なメンテナンス)という「商用核融合炉の三要件」をすべて満たす必要があります。現在、トカマク方式やレーザー方式をはじめとして、世界中で複数の方式を開発する50以上のプロジェクトがありますが、この三要件を「今ある技術」で実現可能な方式は、唯一「ヘリカル方式」を用いるヘリカル型核融合炉のみです。

Helical Fusionは、世界初のフュージョンエネルギー実用化を目指し、「商用核融合炉の三要件」をすべてを満たす、世界で唯一の具体設計プログラム「Helix Program」を進めています。


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[1] 国際エネルギー機関(IEA)年次報告書 「2023年版世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook 2023)

[2] FusionX/Helixos report Global Fusion Market Analysis: Electricity, Supply Chain & Construction (https://fusionxinvest.com/data-analysis/analysis/)


■今後の見通し

Helical Fusionでは、2030年代に定常・正味発電が可能な「Helix KANATA」の稼働を目指します。直近数年間で、加熱装置や、独自の高温超伝導マグネットや液体金属ブランケットといったコア技術を含む統合実証を行う「Helix HARUKA」を開発します。こうした取り組みを、日本全国でパートナーシップを広げ・深めながら前進させていきます。

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