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商用発電所の鍵「高温超伝導マグネット」開発で富士電機と基幹部品である電源装置の供給に関する契約を締結

  • 執筆者の写真: naho yoshimura
    naho yoshimura
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

~2030年代の発電計画へ、エネルギー分野で豊富な経験と知見を誇る大手電機メーカーと連携〜


Helical Fusionは、2030年代の「実用発電」を達成し、フュージョンエネルギー産業を全日本・全分野横断チームで実現する「Helix Programパートナリングプロジェクト」を進めています。ものづくりからエネルギー活用まで、日本全国であらゆる分野での連携を進めることで、フュージョンエネルギーのサプライチェーンを国内で構築し、社会実装を進めていきます。

この度、エネルギー分野で豊富な経験と知見を誇る大手電機メーカーである富士電機株式会社(以下、「富士電機」)と、核融合炉の基幹部品である高温超伝導マグネット用の「電源」装置の供給に関する契約を締結しました。2030年代に発電を計画する装置「Helix KANATA」での実装を視野に、直近2030年をめどに要素技術の統合実証を行う装置「Helix HARUKA」で使用する電源装置や関連機器の調達で連携します。


高温超伝導マグネット向け電源について

1億度のプラズマを閉じ込めた高温超伝導マグネットのイメージ
1億度のプラズマを閉じ込めた高温超伝導マグネットのイメージ

Helical Fusionが開発する「ヘリカル型核融合炉」は、岐阜県にある世界有数の核融合の国立専門研究機関「核融合科学研究所」(以下、「NIFS」)や前身の京都大学や名古屋大学、広島大学などにおける約70年の研究の知見を引き継いでいます。プラズマ研究・炉設計と工学研究成果の観点から、既に実用化に向けたハードルをほとんどクリアしています。

残された数少ないハードルの1つが、核融合反応が起きる「プラズマ」を効率的に閉じ込める強力かつ高精度な磁場を生み出す「高温超伝導マグネット*」の開発です。

実用化できれば、フュージョンだけでなく、宇宙・航空分野や医療用MRI、高効率な送電ケーブルなど幅広い応用も期待されます。開発の意義が評価され、2023年にはHelical Fusionの開発プログラムが文科省SBIR Phase3補助金にも採択されました。

ヘリカル型核融合炉に使用する高温超伝導マグネットを作るためには、コイルに低電圧・高電流を安定的に供給する電力システムが必要です。そのための電源には、数万アンペアに及ぶ大電流を高速かつ正確に制御できる能力が必要とされ、使用する電源装置および周辺設備の準備にも専門的な知見が求められます。今回、2030年代に稼働する発電初号機Helix KANATAでも使用できる水準の電源を備え、直近の実験を進めていくために、最適な製品と知見の両面からサポートが可能な富士電機との連携が、重要な柱となります。


*高温超伝導マグネットは、従来型の超伝導(低温超伝導)に比べて高温域での運転が可能で高磁場を生み出せる次世代型の素材を活用するマグネットであり、より小型で効率的な核融合炉づくりを可能にし、商用化を大きく近づける技術です。

 

富士電機について

1923年の創業以来100年以上にわたり、国内外の産業・社会インフラを支えてきた、確かな実績と歴史を持つ企業です。エネルギー・環境事業で、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献することを経営方針の柱に据え、パワー半導体、パワーエレクトロニクスを中心としたコア技術を磨き続け、クリーンなエネルギーの創出、エネルギーの安定供給、省エネ、自動化を実現するソリューションを提案しています。


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今後の見通し

Helix Programでは、2030年代の「実用発電」を行う装置「Helix KANATA」の稼働に向け、直近2030年をめどに要素技術の統合実証を行う「Helix HARUKA」の開発を進めています。今回調達する電源はHelix HARUKAおよびHelix KANATAでの使用を想定したものです。

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背景

フュージョンエネルギー開発の意義

世界の人口は2050年までに約17億人増加すると予測**され、生成AIの普及も背景とした世界的な電力需要の急増に対し、既存発電方法のみで応えることは厳しい見通しです。フュージョンエネルギーは、太陽の輝きと同じ原理を使ったCO2排出がなく効率性の高い発電方法であり、海水等から豊富に採取可能な燃料を用いることからも、世界的な課題を抜本的に解決する技術として期待されています。核融合プラント建設および電力市場は2050年までに世界で数百兆円規模にまで成長するとの試算***もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。


**国際エネルギー機関(IEA)年次報告書 「2023年版世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook 2023)

***FusionX/Helixos report Global Fusion Market Analysis: Electricity, Supply Chain & Construction (https://fusionxinvest.com/data-analysis/analysis/)

 

 

日本から世界のエネルギー産業をリードできる唯一の技術「ヘリカル方式」

Helical Fusionが開発する「ヘリカル型核融合炉」は、岐阜県にある世界有数の国立専門研究機関「核融合科学研究所」をはじめ、日本で約70年にわたって蓄積されてきた研究の知見を引き継ぐものであり、プラズマ研究・炉設計と工学研究成果の両面から、実用化に最も近い技術です。

核融合炉を発電所として商用利用するためには、核融合反応を起こすことはもちろん、①定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、②正味発電(外部へ十分にエネルギーを出せる)、③保守性(短期間で効率的なメンテナンス)という「商用核融合炉の三要件」をすべて満たす必要があります。現在、トカマク方式やレーザー方式をはじめとして、世界中で複数の方式を開発する50以上のプロジェクトがありますが、この三要件を「今ある技術」で実現可能な方式は、唯一「ヘリカル方式」を用いるヘリカル型核融合炉のみです。

Helical Fusionは、世界初の「商用核融合炉の三要件」を満たす核融合炉を2030年代に実現、世界に先駆けて商用化することで、真に持続可能で高効率なエネルギー源の実用化を目指しています。


Helical Fusionが2030年代に「実用発電」を達成する計画の「Helix KANATA」のイメージ
Helical Fusionが2030年代に「実用発電」を達成する計画の「Helix KANATA」のイメージ

 
 
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