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高温超伝導導体の通電試験が成功 商用炉実現へまた一歩前進しました

弊社が独自に開発を進める高温超伝導導体(High Temperature Superconductor、以下「HTS」)の試験機を用いた実証実験が成功しました。


試験機は、-253度(20ケルビン)の極低温かつ8テスラの強磁場環境下において、電気抵抗のない超伝導状態で19kAの通電試験に成功し、HTSマグネット開発にあたって重要なマイルストーンを達成しました 。同実証実験は、世界でも有数の「⼤型導体試験装置」を所有する核融合科学研究所(岐⾩県⼟岐市) において実施されています(図1参照)。 


HTS試験機は、今回の実証実験⽤にHTS線材であるREBCO*を30枚積層し、約3cm四⽅で⻑さ4m強のケ ーブル状導体に製作されました(図2、図3参照)。


「⼤型導体試験装置」及び関連装置の最⼤通電量(20kA)に合わせた試験機が今回準備されましたが、将来的には同導体中により多くのHTS線材を積層させることで、 今回実施した実験よりも数倍規模の通電量を実現させ、1平⽅mmあたり100アンペアを超える⼤電流密度**の導体開発を目指しています。代電流密度の導体開発は、よりコンパクトで⾼性能な核融合炉の開発に直結します。また、今回の試験機では、将来的な導体の量産化を視野に⼊れ、独⾃のHTS線材の接合⽅法も取り⼊れられました。 


究極のクリーンエネルギーと⾔われる核融合炉は、⽶中を始め各国による開発競争が進んでいます。

その⼼臓部分とも言える⾼温超伝導マグネットの開発は、直近数年は欧⽶企業が先⾏していますが、この開発競争に今回、Helical Fusionが名乗りをあげました。 


Helical Fusionは、2023年10⽉に日本政府から20億円のSBIR Phase 3補助⾦(核融合分野)に採択さ れ(1社当たり最⼤額)、HTSおよび核融合炉の開発を加速させています 超伝導分野においては、今後も、2025年にコイル状の実証実験、2026年以降に実際の炉に使⽤するヘリカル型コイルの実証実験を進めていく予定です。

 

本導体は、1998年に磁場閉じ込めコイルを超伝導化した世界初の核融合プラズマ実験装置を完成させ、⻑年、超伝導開発において世界を主導してきた核融合科学研究所の知⾒を⼟台に、Helical Fusion研究開発部門統括の宮澤順一が発案しました。その「⼤電流密度」に加え「曲げやすさ」(図4参照)を特徴としており 、核融合炉に限らず他分野への応⽤が期待されるテクノロジーです。今回試験機では、株式会社フジクラのREBCO線材を使用し、⾦属技研株式会社に設計と製作を補助いただき、核融合科学研究所に設計と実験をサポートいただきました。 


Helical Fusionは、今後も、超伝導分野において最先端の導体開発を主導し、世界的にもコスト競争⼒あ る核融合炉の早期実証を⽬指していきます。 


<注釈>

*希⼟類元素を含む銅酸化物の⾼温超伝導体の略称。 

従来使⽤されてきた低温超伝導体の⾦属系超伝導体に⽐べて柔軟性や強度が劣るものの、低温超伝導線材と⽐較して「⾼温」の-253℃付近でもマグネットに⽤いることができるのが特徴です。資源的に希少性の⾼い液体ヘリウムを使う必要がなく、⾼磁場環境下でも動作できる性質を持ちます。 


**電流値を導体の断⾯積で割った値。電流密度を⾼くできると核融合炉のマグネットを細くでき、プラズマの周りを取り囲む機器の設置に余裕ができます。家庭用のコンセントの通電量が15Aであり、本試験ではコンセント同様の⼤きさに1,000倍以上の電流を通電させて超伝導状態を維持しています。今後、より電流密度を上げていくと、同じ⼤きさで家庭用コンセントの数千倍の通電が可能となります。



<Helical Fusion ⽥⼝昂哉(代表取締役)からのコメント> 

高温超伝導技術は、核融合炉の心臓部ともいえる電磁石(コイル)を構成するコア技術であり、炉のコンパクト化や性能向上という観点で商用炉には必須の技術と考えられています。高温超伝導技術を世界に先駆けて完成させることは、商用核融合炉実現に向けた重要な一歩であると同時に、日本が核融合産業において覇権を握ることにも繋がります。この度、多くのパートナー企業様、研究所様のご尽力のおかげで重要な開発マイルストーンを達成できたことを嬉しく思いますとともに、実用化に向けてさらなる開発を、弊社一同推進して参ります。



図1:試験機を「大型導体試験装置」に設置



図2:約3cm四方で製作中の導体



図3:実証試験用に準備された導体




図4:曲がった状態の導体サンプル


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