Helical Fusion、ドイツGauss Fusionとヘリカル方式・モジュラーステラレーター方式のフュージョンエネルギー実用化に向けた共同趣意書に署名
日独の研究・産業基盤を活かし民間主導の実用化を推進、日独首脳会談における共同声明関連文書でも言及
世界に先がけたフュージョンエネルギーの実用化を推進する株式会社Helical Fusion(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:田口昂哉、以下「Helical Fusion」)は、ドイツのフュージョンエネルギー開発企業Gauss Fusionと、ヘリカル方式・モジュラーステラレーター方式の実用化に向けた共同趣意書(Joint Statement of Intent)を取り交わしました。
本取り組みは、2026年10月28日に実施された日独首脳会談に関連する共同声明関連文書においても言及されています。
参考:外務省ホームページ「日独首脳会談」https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/erp_2/de/pageit_000001_03282.html

ヘリカル方式とモジュラーステラレーター方式は、いずれも長時間・定常運転に適しており、日本・ドイツ両国でそれぞれ長年にわたり研究開発が進められてきました。両社は、技術・開発戦略の独立性を尊重しながら、日独の研究成果と産業基盤を活かし、民間企業主導によるフュージョンエネルギーの実用化を推進していく共通の意思を示しています。
■共同声明の背景
日本とドイツは、ヘリカル方式・ステラレーター方式のフュージョン研究において長年の実績を有しています。日本では核融合科学研究所(NIFS)の大型ヘリカル装置(LHD)、ドイツではマックス・プランク・プラズマ物理研究所(IPP)のWendelstein 7-X(W7-X)などを通じ、世界有数の研究成果が蓄積されてきました。
ヘリカル方式およびステラレーター方式は、主に外部コイルによってプラズマを閉じ込める磁場を形成するため、長時間・定常運転に適しており、商業用フュージョン発電を実現する有力なアプローチの一つです。
Helical FusionとGauss Fusionは、こうした日独の研究蓄積を背景に、それぞれ商業化を目指しています。両社は、研究機関や産業界との連携も重視し、両国それぞれの研究開発の成果を将来の発電所の建設・運転へとつなげていくことを目指します。
■共同宣言の主な内容
① 民間主導によるフュージョンエネルギー実用化の推進
両社は、日独の研究機関等が培ってきた科学的・技術的成果を基盤に、民間企業が主体となって開発・実証を推進し、将来のフュージョン発電所の建設・運転につなげていくことを目指すこと
② 対話・協力の深化
日本とドイツが有する研究開発力と産業技術を活かし、両社間の対話を深めるとともに、フュージョンエネルギーの実用化および関連産業の発展に向けた協力機会を検討すること
③ 関係機関・産業界との連携
政府、研究機関、産業界、投資家などに対し、民間主体が主導するヘリカル方式およびステラレーター方式によるフュージョンエネルギーの実用化について発信する。また、共通の目標を有する他の企業や研究機関との連携についても、引き続き可能性を探ること
■今後について
両社は本共同宣言を踏まえ、対話を継続し、具体的な協力の可能性を検討していきます。
なお、本共同宣言は両社の共通の意思を示すものであり、法的拘束力を伴うものではありません。両社はそれぞれ独立した技術開発・事業活動を継続し、具体的な技術協力や事業上の連携については、必要に応じて個別に協議・合意するものとしています。
■Helical Fusionについて
Helical Fusionは、フュージョンエネルギーの実用化を目指す企業です。2021年に、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所(NIFS)[1]における研究成果を活用するかたちでスピンアウトし、創業しました。
日本独自の核融合炉形式である「ヘリカル方式」は、これまでの国立大学や公的研究機関における約70年にわたる研究開発の結果、商用発電所に求められる要件を備えやすい方式であることが評価されています。その知見を生かし、世界に先駆けたフュージョンエネルギーの実用化に向けた「ヘリックス計画(Helix Program)」を進めています。
■ヘリックス計画について
「日本にもうひとつ太陽をつくろう。」 ヘリックス計画は、このメッセージのもと、世界に先がけたフュージョンエネルギーの実用化に向けてHelical Fusionが推進する具体的計画です。2020年代中をめどに二大開発要素「高温超伝導マグネット」「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了し、2030年代中には、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証、および発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する見通しです。
現在、核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の敷地内にあるHelical Fusion専用スペースにて、最終実証装置「Helix HARUKA」による高温超伝導マグネット実証に向けた製造・建設が進んでいます。核融合装置開発を進める各社のなかでも、詳細設計をもとにした具体的な建設に至っていることは先駆的な事例といえます。Helix HARUKA向けの重要なコンポーネントの開発は、国内各社の協力を得て、着実に進んでいます。


■「実用発電」のための三要件
核融合炉を発電所として商用利用するためには、核融合反応を起こすことはもちろん、①定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、②正味発電(プラントの外に電力を供給できる)、③保守性(メンテナンスが可能)という「商用核融合炉の三要件」をすべて満たすことが必要です。ヘリックス計画では、この三要件の実現から逆算した設計に基づいて開発を進めます。

背景
■フュージョンエネルギー開発の意義
世界の人口は2050年までに約17億人増加すると予測[2]され、生成AIの普及も背景とした世界的な電力需要の急増に対し、既存発電方法のみで応えることは厳しい見通しです。フュージョンエネルギーは、太陽の輝きと同じ原理を使ったCO2排出がなく効率性の高い発電方法であり、海水等から豊富に採取可能な燃料を用いることからも、世界的な課題を抜本的に解決する技術として期待されています。核融合プラント建設および電力市場は2050年までに世界で数百兆円規模にまで成長するとの試算[3]もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。
日本においては、2025年10月に高市早苗総理大臣が率いる政権が発足し、「危機管理投資」や「経済安全保障」を成長戦略の核心と位置づけ、所信表明演説では“次世代革新炉や核融合エネルギーの早期社会実装”が明記されました。同年6月には内閣府による「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の改定により、2030年代の発電実証を目指すロードマップが提示されています。加えて、新政権が掲げる「重点投資対象17分野」にフュージョンエネルギー(核融合)が挙げられ、2040年までに3.1兆円の官民投資が目指され、直近3年間で600億円の経済産業省主導補助金制度が公募されるなど、政府としての推進体制も具体化しています。学術研究の段階から、官民をあげた産業化への動きが加速しています。
<本件に関するお問合せ>
株式会社Helical Fusion コミュニケーション統括室
[1] NIFSは、世界有数の大型プラズマ実験装置「大型ヘリカル装置(LHD)」において、3,268秒間(約54分間)にわたるプラズマの維持や、1億度を超えるプラズマ温度の達成、そうした運転に不可欠なプラズマの安定制御にかかわる知見などを蓄積してきた、ヘリカル型(ステラレータ)核融合研究を牽引する公的研究機関です。
[2] 国際エネルギー機関(IEA)年次報告書 「2023年版世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook 2023)
[3] FusionX/Helixos report Global Fusion Market Analysis: Electricity, Supply Chain & Construction (https://fusionxinvest.com/data-analysis/analysis/)


